2015年7月2日木曜日

【輝く処方箋】大阪大学大学院教授・矢吹信喜「目的を見定めて制度改革」

--現在の土木現場をどう見ているか

 「日本の公共土木工事は工区が細分化され、しかも単年度予算で運営されている。その弊害として年度末に人や資材が集中してしまう。空間的にも時間的も問題を抱えている。工事規模をある程度確保し、施工者が複数年度にわたってコーディネーションできれば、現場運営の仕方も大きく違ってくる」

 「契約方式の部分も重要になってくる。デザインビルド(DB)、詳細設計付工事発注、設計段階から施工者が関与するECI方式など多様な発注方式がある。対象工事の実情を踏まえ、契約方式をフレキシブルに採用することが欠かせない。会計法の絡みもあり、簡単に対応できない部分もあるが、NEXCOや鉄道・電力会社などの民間発注機関であれば、柔軟に対応でき、そこからより最適な契約手法を見いだすことができる」

--国土交通省がCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の試行に乗り出した


 「3次元モデルデータの活用効果は大きいが、それに見合った建設生産システムを構築しなければ意味を成さないし、本来目指すべきところまでいかない。現在のままでは、現場は2次元と3次元の両方に対応しなければならず、逆に業務負担を増やしてしまう。まず目的が何かをはっきり見定め、制度改革を行うべきだ」
 「国交省では2016年度を目指し、CIM導入ガイドラインの策定準備を進めている。試行開始から3年が経過したが、これまでは案件ごとに3次元モデルのLOD(詳細度)は異なり、それにかかわる関係者が戸惑う部分があった。大事なのはCIMの範囲対象を明確に示すことであり、効果的なCIMの運用にはデータ形式のあり方まで含め、ある程度細かな部分まで規定を設ける必要がある」

--新技術の活用については

 「センシング技術の活用が現場に大きな変化を生むことは間違いない。リアルタイムに現場計測が可能になれば、生産性に加え、安全性の側面でも効果を期待できる。ICタグ、GPS、3次元モデルデータなどの新技術を駆使することで、時間軸も含めた4次元の現場シミュレーションが実現する。そうなれば現場のあり方もおのずと変わってくる」
 「利点は、取得したデータの比較検証ができるということである。現場の経験則というのは曖昧であり、データの比較検証によって最適解が導ける。そうした新技術導入の効果に、インセンティブを与えることも忘れてはいけない。施工者や設計者がメリットの得られる建設生産システムを実現できれば、関係者のモチベーションは高まり、現場に活気が出てくる」
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