2015年7月1日水曜日

【輝く処方箋】国土技術研究センター理事長・全国土木施工管理技士会連合会会長・谷口博昭「『全員経営』で実践知磨け」

--現場に必要なことは

 「一品生産で、多種多様な工程や施工条件を抱えて、しかも重層下請構造の建設現場には、生産性の向上が不可避で、そのためには現場力が欠かせない。最近、全員経営という考えが脚光を浴びているが、私は建設業界にこれを取り込み、実践知に優れた人材を育成されることを提案したい。実践知とは即興の判断であり、建設現場は不測の事態に遭遇しやすいだけに実践知が求められる。部分解だけでなく全体解の視点を持って取り組む、柔らかな現場力が建設業界にも問われている」

 「もう1つは、現場からOKY(お前が・来て・やってみろ)の声が生じないような、経営トップと現場との意思疎通と役割分担が必要で、それにはミドルマネージャーの役割が重要になる。他産業、特にトヨタの創意工夫を生かす“カイゼン”、あるいは問題を先送りせずラインをすぐ止める“アンドン”という柔軟なマネジメントシステムを参考にすべきだ。価値創造の観点を共有し、中長期、短期の両面から価値を志向し、その中で現場の裁量や自由度を高めていく」

--活力回復の処方箋を

 「技術と技能とをきちんと区分して、技術の見える化を図るべきだと思う。技能は個人の腕で発揮される暗黙知だが、技術はシステムであり、暗黙知の見える化を進めるべきだ。そのためにはCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用も有効である。技術の進化と変化は目まぐるしい。その変化のスピードとイノベーションに遅れないためにも、見える化を急ぐべきではなかろうか」

--これからの官民のあり方は

 「担い手3法が成立、施行されたことを評価したい。その精神をより強固なものにすることが官民、特に地方自治体に求められている。公共事業で何よりも大事なのは、新しい時代に対応した官民連携である。癒着とはまったく異質の、お互いの信頼をベースにした連携こそが、PPPやPFIの進展にもつながり、新しいプロジェクトで生じやすいリスクを逆の力に転化できるはず。そして信頼のためには、本音で話し合える意見交換や交流をする必要がある。当センターや全国土木施工管理技士会連合会はその潤滑油となれる」
 「地方の建設業界には、社会貢献も大事だが、人口減少時代を迎えるこれからは、地域づくりや地方創生に対し、CSRを超えCSV(Creating・Shared・Value)、つまり地域社会の構成員として役割をシェアし、地域の共有価値を創造する企業になるべきだと提案したい」
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