2015年6月22日月曜日

【建設産業の明日】国際規格で市場開拓 認証取得進むISO55001

国際規格ISO55001の認証を取得する建設企業が増えつつある。インフラ老朽化に対応しなければならない国、地方自治体が財政抑制に直面していることで、上下水道や道路といったインフラの公物管理者が自ら行っていた業務を民間企業に委託したり、インフラの運営そのものを民間に任せるコンセッション(運営権付与)などを通じて、維持管理市場が拡大する可能性の高いことが理由だ。ISO55001の認証の取得は、いち早く維持管理市場を取り込むための企業戦略とみられる。

◆背景に海外入札参加要件化も
 ISO55001は、国際標準化機構(ISO)が2014年1月に定めたアセットマネジメントに関する国際規格。下水道、道路、橋梁、鉄道、通信といった社会インフラにかかわる民間企業や自治体が、社会インフラの機能を持続可能なものとするには、どのような組織、責任分担、方法で仕事をするべきかを定めている。
 認証取得のメリットとして、資産管理の効率化・高度化、資産管理に関する説明責任の強化、社会インフラの海外輸出の促進の大きく3点が挙げられる。特に世界的な規格の普及により、海外インフラ案件の入札参加要件として、ISO55001認証の取得が要求される可能性も考えられることから、日本の民間企業が諸外国に先んじて認証取得することにより、国際競争力を確保するものと考えられている。
 また、ISO55001は利用者が納得できるサービスを、納得できる費用負担で持続的に提供できる高度な経営能力を構築するための実現手段であるとともに、利用者にそれを確信させるための有力な証明手段でもある。その証明は第三者機関が認証することで実現する。

◆日本国内と海外各国の取得状況

 認証機関である日本環境認証機構(JACO)によると、国内では14年3月に仙台市が下水道分野で取得したのを皮切りに、水ing、愛知県/愛知水と緑の公社、日水コン、積水化学工業、日本工営/グランビスタホテル&リゾート、ガイアートT・K/白糸ハイランドウェイ、三機環境サービスの8組織が、15年3月末までに水、道路分野で認証を取得している。15年度に入ってからも5、6社の民間企業が認証取得に向けた作業を始めているとし、特に大手コンサルタント会社は取得に向け「ほとんどが動いている」(JACO)という。
 海外ではヨーロッパ諸国が先行して認証を取得。水、道路、電気、石油、ガス、ファシリティー、鉱山分野などで、英国、UAE、フィンランド、インド、米国、香港、ボツワナ、オーストラリア、オランダの13組織の認証取得を確認している。
 ISO55001の認証取得の動きが拡大しているのは、国内の中小規模団体が運営する下水道、地方道路公社が保有する道路などの維持管理の包括業務、さらには運営まで行うコンセッションの市場取り込みが背景にある。
 地方自治体は、保有インフラ老朽化対応のための公共施設等総合管理計画の策定を進めているほか、地方創生を受けた地域づくりにも直面している。保有インフラの維持管理や運営を民間に任せることを選択するケースが中長期的に増える可能性は高く、認証取得に向けた動きは今後も拡大しそうだ。
 一方で、認証取得がさらに広がるためには国内の審査機関の拡大も不可欠だ。効果的なアセットマネジメントを構築・運用するためにも、審査員などの人材教育・育成も必要となる。
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