2015年6月2日火曜日

【団体からの提言】日本建築学会会長 吉野博「優れた建設技能者を確保」

東日本大震災から4年が経過した。岩手・宮城の両県では復興事業がようやく軌道に乗ってきている。災害公営住宅の建設や防災集団移転は活発となってきた。嵩上げ工事も進んでいる。このような中で問題として指摘されてきたことの1つは建設技能者の不足である。オリンピックを2020年に控えていることから、これらの技能者が東京に移動する事態が予想されるが、人手不足のために復興事業に遅れが生じないことを祈るばかりである。

 建設技能者の不足は、震災前から建築業界では大きな問題となってきていた。理由は、低賃金、重労働、汚れた職場環境などの労働条件である。また少子高齢化ということも背景としてある。特にバブル以降は技能者の解雇、転職が増加した。
 震災後の復興とオリンピックの準備が終了するまでは建築物の新規需要が続くことは間違いないが、それを過ぎると新規需要は落ち込む。しかし既設建築物のリニューアルやコンバージョンの需要が今後は増加していくことが見込まれる。むしろ低炭素社会においては、まち中の空家・空ビルなどの改修を積極的に推進し、新たな雇用やコミュニティー形成へとつなげていくことが重要である。
 日本建築学会では、報告書『建築教育の需要構造と建築職能の将来像-新たな時代の建築界の教育と人材育成のあり方を探る』を刊行しており、その中で、(1)職能間の役割と責任の明確化(2)実践型建築教育教材・手法の整備(3)産学連携による協議の場の整備--を学会の果たすべき役割として提言している。刊行時期は06年とやや古いが現在にも通じる提言である。
 優れた建設技能者を確保することは、健全な建設産業の持続的発展のためには欠かせないところであり、労働条件の改善を含めて産官学民を挙げて真剣に取り組むべき課題である。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿