2015年5月25日月曜日

【産業界の動向と展望】ゼネコン 人事制度の見直し・技能者の確保、定着・PC建協の取り組み

◆人事制度の見直し 地域総合職の導入相次ぐ
 人口の減少に伴い人材確保の産業間競争がより一層強まっていく中、ゼネコン各社は、人材の確保・定着に向けて、さまざまな手を打ち始めている。基本給を底上げするベースアップや初任給の引き上げなど賃金改定に加え、多様化する価値観に応じた働き方ができるよう人事制度を見直す動きが活発化している。

 少子高齢化で就職の地元志向が強まる中、地域限定総合職を導入するゼネコンが増加傾向にある。戸田建設は来春の新卒採用から、勤務地を問わず、国内外への転勤の可能性がある従来の総合職に加え、勤務地を各支店に限定するエリア限定総合職の募集も開始した。既存制度にエリア限定総合職はあったが、既に働いている社員が対象で、新卒採用への導入は今回が初めて。
 東洋建設は、介護などで一時的に転勤が難しい総合職社員が地域総合職を選択できるよう既存の制度を改定。一般職の社員にも地域限定総合職への門戸を開き、女性を含む多様な人材が働きやすい環境を整えた。
 地域限定総合職は、西松建設や東鉄工業が4月に新設したほか、熊谷組は特定職(一般職)を廃止し、地域総合職と統合した「エリア職」を新たに設け、松井建設も地域限定総合職の検討を明らかにしている。
 地域限定総合職以外にも働き方の多様化、長時間労働の是正などに向けて各種制度を見直したり、その改定を検討するゼネコンが多く。また、今春の新卒採用では、「高専の推薦枠を拡大した」(五洋建設)、「工業高校の採用枠を拡大した」(安藤ハザマ)など、人材確保の裾野を広げる動きも出始めている。ナカノフドー建設は約20年ぶりに工業高校の採用を再開した。定年退職後の再雇用者の処遇を改善する動きも相次いでいる。

◆技能者の確保・定着 優良技能者認定制度を拡充
 技能労働者の高齢化が進み、新規入職も思うように進んでいない中、優秀な技能労働者に手当を支給する優良技能者認定制度の拡充がゼネコン各社で相次いでいる。
 清水建設は、日額500-1500円の特別手当を支給する「職長手当支給制度」の支給額を増やし、2000円に一本化した。従来は職長の職責や貢献度に応じて、現場の裁量で支給額を決定していたが、全社共通ルールに改め、登録基幹技能者、建設マスターなどにはさらに500円を上乗せする。
 鹿島は、同社の工事に貢献度の大きい優秀な職長を登録して手当を支給する「鹿島マイスター」制度を新設した。主要な協力会社を中心に特に優秀な職長を「マイスター」、その中からさらに優秀な人材を「スーパーマイスター」に認定し、同社の現場に従事した日数に応じてそれぞれ日額1000円、3000円を支給。従来の優秀技術・技能者報奨金制度「E賞」は、対象を職長候補など将来有望な若手技能労働者に引き下げて「新E賞」として継続。受賞者には1人当たり年額10万円を支給する。
 「大林組認定基幹職長(スーパー職長)」を展開する大林組は、認定の年齢基準を満60歳未満から満65歳未満に引き上げた。熟練した技術の伝承に向けて、高い技能と経験を持った職長が活躍できる環境を整えるのが狙い。同社は、協力会組織の大林組林友会と設立した大林組林友会教育訓練校に、若手技能者である訓練生のキャリアアップを促すインセンティブ制度の導入も決定。登録基幹技能者、1、2級技能士の各資格取得などに応じて訓練修了生本人と派遣した協力会社に報奨金・奨励金を支給する。
 手当の増額では、西松建設が「上級職長制度」の手当を従来の4倍となる日額2000円(上限年額48万円)、「西松マイスター制度」の手当を2.4倍となる日額3000円(同72万円)に引き上げたほか、東急建設は「東急マイスター」の報奨金を改正。従来は年額一律10万円だったが、認定時に一時金として10万円を直接支給するほか、2年目以降は就労実績に応じて上限30万円まで増額する。大成建設も引き上げに向けた検討を始める予定だ。
 12年度にスタートした竹中工務店の「竹中優良職長制度」では、最も上位となるシニアマイスターが初めて誕生。シニアマイスターは、マイスターとして3年間に150日以上、同社の作業所に勤務し、顕著に貢献した人の中から選ばれ、日額3000円が支給される。
 制度の新設では、飛島建設が同社現場への就労に対して日額1000円の手当を支給する「とびしまマイスター制度」を創設し、ことし1月から運用を開始した。

◆PC建協の取り組み 現場見学会で学生にPR
 プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)は、PC技術の普及や人材確保などを目的として、全国の支部ネットワークを活用して現場見学会を開催している。地域住民などを対象とした見学会のほか、大学や高専の学生を対象とした見学会も実施している。PCの現場を体感し、意見交換会なども行うことで学生に興味・関心を持ってもらい、入職促進につなげたい考えだ。
 昨年8月に実施した見学会では=写真、同協会北陸支部が中心となって「能越道・城山高架橋(その1-3)工事」(石川県七尾市古城~竹町地先)の現場に、金沢大学の理工学域環境デザイン学類3年の68人と引率教員3人を招いた。
 橋長は835m。その1は川田建設、その2は鉄建建設の施工で、ポストテンション方式PC8径間連続箱桁橋を片持張出架設工法で施工する。一方、三井住友建設の施工によるその3工事は、ポストテンション方式PC4径間連続箱桁橋を固定支保工で分割施工する。
 見学会ではこのほか、1952年に建設された日本初のプレテンPC橋「長生橋」も見学し、実際に橋を渡った。この橋は建設後50年目に、河川改修に伴い撤去され一部が七尾市郊外にある希望の丘公園に移設されている。
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