2015年5月8日金曜日

【インタビュー】東京大学・政策研究大学院大学教授 家田仁/インフラ是非は冷静な議論で

--インフラのあり方は

 「インフラ投資を考える場合、国民の意識の変化、財布と金持ち度、求められる質の高さなどが影響する。例えば、高速鉄道も、国民の所得水準が低ければ何もそんなに急いで運行する必要がないが、所得が高くなると、当然高速運行へのニーズが高まる。住まいについても、郊外でも庭付き一戸建てに住みたいという若いころのニーズが高齢になると、駅近くの都心マンションがいいということになる」

 「人がどう変わるかによってインフラも変わる。インフラは長い歴史の中で量も質も基本的には上がってきているが、人の見方や価値観の変化でその時々に変わる。その意味では、人口減少時代になったからインフラも減らせばいいという単純なことにならない。時代が変わる、その時何が必要で、何がいらなくなるのかという判断には冷静な議論を尽くすべきだ」
 「財政が苦しい、誰か文句も言わない悪者を見つけよう。それ、公共事業を悪玉にしようという迷信に走ること。それとは逆に、景気が悪くなるとすぐ公共事業を景気対策の糧としたがること。この2つの流れは、私にとってもインフラにとっても、どちらも敵である。いい悪いの判断と選択は高度な難しいことであり、だからこそ冷静に、慎重に考えるべきことだ」

--判断の1つにB/C(費用便益)がありますが
 
 「そのような価値判断を持ち込むのは、インフラを十把一絡げのものと考えているからだ。防衛、教育と同様、国民の生活と安全に深くかかわるインフラもB/Cを超えた判断が必要だ。明治維新後、大久保利通は自分の出身地と離れた東北にインフラ投資をした。それは戊辰戦争で傷んだ東北地域の基盤整備を急ぐことが国を1つにすることだと考えたのだ。決してB/Cではない」

--建設産業界への提言を

 「東大工学部の学生にとって80年代から90年代は国鉄、建設省が1番で、次はゼネコンが人気があった。だが今はそんなに魅力的になっていない、十年一日の産業と見られているからだ。時代をみて魅力をつくれと言いたい。そのためには新設ばかり追い求める狩猟民族から、地域を大事にし、インフラ再生やメンテナンスにも力を注ぐ農耕民族になり、弓矢を鍬に持ち替えることも考えてほしい。インフラ再生には技術革新が必要で、そのためにも期待している」
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