2015年5月21日木曜日

【建設産業 担い手不足の現状と課題】数字で見る人口減と担い手不足 縮む労働力、地域格差も拡大

◆将来の担い手は65歳以上の半分 人口増は7都県、30道府県で減少拡大
 労働力(担い手)の基礎となる人口減少は統計上からも明らかだ。総務省が4月17日に公表した、2014年10月1日現在の日本の総人口推計(外国人含む)では、前年比0.17%減の1億2708万3000人となった。このうち担い手となる「生産年齢人口(15歳-64歳)」は116万人減少し7785万人と減少に歯止めが掛からない。一方、総人口に占める65歳以上の高齢者割合は26.0%と過去最高となった半面、今後の担い手である「年少人口(14歳-0歳)」は前年比15万7000人減の1623万3000人で総人口に占める割合は12.8%と過去最低を更新。また、これまで指摘されてきた「東京一極集中」も一段と進んでいることも浮き彫りになった。「縮む労働力」と「少子化・高齢化進行の地域格差拡大」に直面する日本の問題は、インフラの整備や維持管理を担う建設産業界にとっても大きな問題となっている。

 人口減少・高齢化が大きな関心を集めているのは、20世紀の100年間で日本の人口が3倍まで急増し、21世紀の100年間で3分の1近くまで急減するという人口推計が理由だ。急激な人口減少と、少子・高齢化進展の一方、社会保障費が増加することで、国の経済規模を示すGDP(国内総生産)縮小や国家財政悪化の最悪シナリオも現実化しかねない。
 政府が、デフレ脱却からの経済政策を強く押し出す一方、出生率向上のためのさまざまな支援、女性活用拡大、地方創生方針に基づき地方の再構築を急いでいるのも、最悪の局面を回避するためだ。
 そうした中、建設産業界にとってもはっきりしていることは、今後の人材確保の産業間競争で、処遇改善などを進めても過去のような労働力数の確保は非常に難しいことだ。
 国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」の15年人口ピラミッドでは、今後の社会を支える若手(15年時に15歳から18歳)層は470万人。これに対し団塊世代(同64歳-67歳)層は820万人。つまり若手層は団塊世代層と比較して約350万人少なく6割弱になる見通しとなっている。
 今回、総務省が公表した直近の人口推計でも、減少し続ける総人口に対し、将来の担い手である「年少人口」の割合が過去最低を更新したことも合わせれば、労働力全体の母数そのものが縮小する中で、建設産業界のさまざまな担い手確保取り組みによって産業別入職割合を高めても、これまでような労働力数確保は難しいとの見方だ。

そのため建設業界では、担い手確保と同時進行で、技術革新といったさまざまなイノベーションと、社内教育の見直しなど担い手育成によって、生産性を向上させることで労働力減少を補い収益も向上させる取り組みも加速している。
 ただ一方で、日本が直面する将来の担い手である年少人口と生産年齢人口減少に対応するため、建設業界が取り組む担い手確保と育成だが、今後人口増減の地域格差拡大が、地方建設業界にとって悪影響を与える可能性も高まりつつある。
 若者層が大都市に集まり、地方の生産年齢人口が大都市と比べ減少割合が高まる一方で高齢化割合が高まる地域の高齢化で、建設産業界の担い手確保が地方ほど難しくなる問題だ。
 既に総務省の直近総人口推計でも、都道府県別の人口増減率で、東京、埼玉、神奈川、千葉など首都圏のほか、沖縄、愛知、福岡の7都県だけが増加、減少は40道府県に上った。特に1%以上減少したのは青森、秋田、さらに0.96%減の高知が続いているほか、30道府県は前年より減少幅が拡大するなど、地方の担い手確保の難しさを浮き彫りにしつつある。

◆建設業が若者の居場所提供を 他産業の早期離職者取り込め
 担い手確保への取り組みでは、別のアプローチも必要かも知れない。高校、大学の中途退学や、就職しても早期離職した、いわゆる「社会のなかで居場所を築けない若者たちの建設業界への取り込み」(建設業振興基金の内田俊一理事長)だ。内田理事長によれば、2010年3月卒業の高卒35万人のうち、早期離職や中退あわせると約24万人、大学・専門学校卒も77.6万人のうち約41万人が社会で居場所を築けていないという。
 まずは建設業界が進めている担い手確保と育成取り組みで、建設業界に入職した技術者や技能労働者などの早期離職を食い止めるための対応をする一方、他産業で早期離職した若者たちを建設業界に呼び込むための取り組みをすることが、担い手の確保として必要だと内田理事長は指摘する。若者の確保へ向け、行政、業界は「若者は給与だけでなく、やりがいと休日を重視している」(関係者)として、賃金アップにとどまらず職人の教育訓練システム再構築や、工期平準化や延長による休日確保などに取り組み始めている。
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