2015年5月27日水曜日

【産業界の動向と展望】総力取材レポート 地方業界の今 中国・四国・九州

◆中国 豪雨災害復興、防災予算を重点配分
 昨年8月の広島豪雨災害=写真=は、大きな被害をもたらしたが、被災地では復興に向けた動きが活発になっている。
 国交省では、緊急事業として砂防堰堤の整備などを推進、広島県も被災地の生活再建や計画的な防災施設整備、減災に向けたソフト事業などに予算を重点配分した。
 一方、広島市では市長選に伴う骨格編成にもかかわらず、復興関連予算などを盛り込んだことで前年度を上回る予算編成となった。また、防災・減災のための施設整備など被災地域のまちづくりの骨格と実現に向けた実施方針を盛り込んだ「2014年8月20日豪雨災害復興まちづくりビジョン」をまとめるとともに、ビジョン推進拠点として復興工事事務所を4月1日付で開設した。

 行政による被災地復興事業が本格化する中、東大が中心となって設立した復興デザイン研究体が広島土砂災害を対象にスタジオ型演習を開講し、復興デザインに関する提案を行うため動き始めた。研究体の共同研究員である復建調査設計の山根啓典社会デザイン創発センター長は「広島土砂災害はもとより、東日本大震災被災地復興、南海トラフ被災地想定地の事前復興など、東大と密な活動を展開していきたい」と意欲を示している。

◆四国 地域で温度差 受注の先行きに懸念
 「アベノミクスの効果は地方に及んでいない。景気がいいのは東北や首都圏だけ」--ある地元建設企業トップは断言する。

耐震化が検討されている香川県庁東館。建築工事は多いが続かないという声も
四国各県の当初予算は、骨格編成など特殊要因を除き2014年度、15年度と確実に投資的経費を増やしている。懸案の大型工事が発注されるなど一見好調に見える。
 しかし、地元建設業関係者の間では「地域によって差がある。土木では内陸部の企業と、防災・減災対策の工事を受注している徳島や高知の沿岸部の企業では受注量に差が出ている」「実感では受注量はむしろ減っている。設計労務単価の改訂でなんとか助かっている」という声もある。
 専門工事業のトップは「耐震化や合併特例債の活用など学校や病院、新庁舎の建設など建築工事は好調だがあと数年で終わる。今は人手不足だが、かってのような厳しい時代に戻るかも知れない。今後のことを考えるとベースアップなんてできないし、簡単に人員を増やすことはできない」とする。
 建築工事を中心に展開する地元建設企業の幹部は「発注量や景気に左右されず地元の顧客から確実に仕事を受注する。規模は拡大しない。地域のゼネコンが生きる道はこれにつきる」という。

◆九州 女性・若手技術者育成、九州整備局がコンサルで試行

 九州地方整備局が全国に先駆けて、コンサルタント業務で女性・若手技術者の登用促進・育成を図る試行業務を2015年度から実施する。女性関連は、入札参加要件として担当技術者に女性1人以上の配置を求める「女性技術者配置型」、管理技術者に女性を配置した場合、入札手続きの評価段階で加点する「女性技術者評価型」の2施策で各10件程度を見込む。
 若年者関連では管理技術者40歳未満、担当技術者30歳未満の若手技術者の配置を参加要件にする「若手技術者配置型」を試行し、業務20件程度を対象にする。
 また、労働環境改善に向けて、業務100件程度を対象に、定時退社などのルールを受発注者相互で決め意識的に取り組む施策を始める。ルールは義務化しないが、業務完了後に受注者にアンケートを実施し、今後の業務に反映させる。
 こうした取り組みは、14年12月に設置した建設コンサルタンツ協会九州支部との「業務円滑化調整会議」の議論の中で生まれた。同支部は「受発注者が問題解決に向けて話し合えるのは画期的なこと」(同支部幹部)と調整会議の設置を高く評価しており、労働環境改善への取り組みについても「若者が抱いてきたこれまでの悪い印象を変えられる」(同)と期待を寄せる。
 一方、取り組みが先行する工事では、女性技能者従事に対しての工事成績加点、女性が働くために必要な施設・設備の実費計上などを15年度も継続するほか、14年度に道路工事1件で試行した女性技術者配置型は九州各県1件程度、5件だった若手技術者配置評価型は各事務所2件程度に拡大する。
 14年度試行の女性技術者配置型を落札した田島組は、監理技術者に配置した女性技術者が事務所に女性専用の更衣室や洋式水洗トイレなどを設置したほか、地元の工業高校を招いた現場見学会や県内の女性技術者を対象にした意見交換会を開くなど、積極的に取り組んだ。
 建設業を下支えする専門工事業への担い手確保の取り組みでは、熊本県が、建設産業若手技能者雇用促進事業補助金制度を創設した。40歳未満の若年者を新たに雇用して、職業訓練施設で育成する地元建設業者を対象に、国の補助金額と同額の49万円を補助する。
 また、ことし3月に熊本県内の建設専門工事業団体と高校による意見交換会を開催し、理解を深めた。県としては初めての取り組みで、土木部監理課の成富守課長は「交流を継続することが何よりも大事だ。来年度以降も意見交換会を開催したい」と話す。
 担い手の育成に力を入れるのが福岡県建設専門工事業団体連合会だ。職業訓練法人の広島アカデミーをモデルに、新入社員を対象にした研修所を設立する。参加企業・団体の事務所など既存施設を活用しながら、それぞれ50日程度で、建築躯体、仕上げ、設備、土木の基礎を学べるようにする。運営やカリキュラムの検討に着手し、早期開校に向けて動き出した。
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