2015年5月19日火曜日

【新市場】エネルギーと環境 海洋資源、小水力発電

国土面積の12倍を超える日本の大陸棚には、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、メタンハイドレート、レアアース泥などで高いポテンシャルがあると推定されている。このことは「日本は『海のジパング(黄金の国)』になる可能性を示唆している」(政府関係者)。ただ、こうした海底鉱物が資源として産出でき商業化を実現するまでにはまだまだ時間がかかる。既に一部の建設会社や建設コンサルタントがかかわっている海洋資源開発の動向をみる。写真は国内で初めてダムESCO事業を実施した寺山ダム。

◆砂層型メタンハイドレート
 2001年度から本格的な資源量調査や研究開発に着手した。08年にはカナダで陸上産出試験が実施された。日本では、13年3月に渥美半島から志摩半島の沖合50―80㎞の海域で、地層内の圧力を下げることにより、メタンハイドレートを水とメタンに分解し、メタンガスを回収する減圧法によるガス生産実験を行った。この海洋産出試験は世界初だった。
 今後は、米国アラスカ州北部のノーススロープで、メタンハイドレートに関する地質調査や生産試験などを実施する予定になっており、日本の砂層型メタンハイドレート開発を進める上での実証研究機会として期待が高いという。
 15年度は、より長期の海洋産出試験実施に向けた準備を進める。具体的には、長期安定性生産と経済性の観点からの生産システムを検討し、設計する。16年度以降の中長期の海洋産出試験に向け、今後の研究の進展によって、ガス生産試験の期間や生産量の目標を15年度中に決める予定だ。
 政府は中長期の海洋産出試験などを通じて、技術課題の克服に取り組み、18年度をめどに商業化の実現に向けた技術を整備する。「平成30年代後半」には、民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトの開始を目指す。

◆表層型メタンハイドレート
 主に日本海側に賦存が確認されており、13年度から3年程度かけて、資源量把握に向けた広域調査などを進めている。
 13年度は上越沖、能登半島西方沖の調査を実施し、表層型メタンハイドレートが存在する可能性のある地質構造(ガスチムニー構造)が225カ所あったことを確認した。多くは直径200―500m程度で、大きなものは直径900m程度の構造であることが分かった。一つのガスチムニー構造を調べたところ、構造内部にも表層型メタンハイドレートがあることを初めて確認した。
 14年度は壱岐周辺、上越沖、秋田・山形沖、日高沖を調べ、746カ所のガスチムニー構造を新たに確認した。このうち上越沖と秋田・山形沖の3カ所で掘削を行い、表層型メタンハイドレートを含む地質サンプルを取得した。
 サンプル取得地点では、ガスチムニー構造の上部(海底面から海底面下50m程度の深さまでの範囲)に、厚さ数十cmから1m以上のメタンハイドレートが存在していることが判明した。
 15年度は、北海道周辺海域でも新たに広域調査に入るとともに、掘削調査も継続する。また、資源回収技術の調査にも着手する予定だ。
 16年度以降に本格的な資源回収技術の調査と研究開発を始める。

◆海底熱水鉱床
 15年度までに既知鉱床の資源量評価と新たな有望鉱床を発見することが、政府の海洋基本計画と海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に示されていた。これまでに沖縄海域・伊平屋小海嶺周辺と沖縄海域・久米島沖で海底熱水鉱床の存在を確認している。
 伊平屋小海嶺周辺、久米島沖とも、鉱床の規模や品位が既知鉱床の伊是名海穴に匹敵する可能性があり、今後、ボーリング調査などによって詳細な資源量を把握する。特に久米島沖の鉱床は銅の品位が高いという特徴がある。
 15年度は、17年度の実施を目指している採鉱・揚鉱技術の実海域でのパイロット試験に向け、採鉱機の24時間運転に向けた能力向上を進める。また、揚鉱技術は、揚鉱システム(水中ポンプと揚鉱管)の製造に着手し、パイロット試験に向けた開発を加速化していく。

◆小水力発電/少ない資金で高い利益率確保
 ダムを新たに造るのは、時間もお金も掛かるが、水利権の問題さえクリアできれば、安定して発電できる小水力発電は、再生可能エネルギーの有望株だ。規模が小さいため少ない資金で事業化が可能なことから、建設コンサルタントの取り組みが活発化している。

◆潜在的可能性を事業化

 日本工営は、初めて自らが事業主体となり最大出力490kWの新曽木発電所(鹿児島県伊佐市)を建設、2013年4月から発電を始めた。同年9月には、全国初のダムESCO(エネルギー・サービス・カンパニー)事業を、栃木県営の寺山ダム(矢板市)でスタートした。
 同事業は、日本工営が既存のダムに水力発電設備を設置して、売電で事業収入を得る代わりに、ダムの管理費を負担することで、県は経費を削減できる仕組みだ。ダムESCOはことし3月に塩原ダム(栃木県)で発電を始めたほか、4月下旬には四時ダム(福島県)でも予定している。
 同社は、小水力発電を中心に再生可能エネルギー事業を今後も積極的に展開するため、国内のエネルギー関係子会社を統括する工営エナジーを、ことし1月に設立した。海外ではインドネシアで、7200kWの水力発電所建設を計画している。有元龍一社長は、「発電事業の営業利益率は50%くらい」と高収益を指摘する。
 アジア航測は、東北電力の子会社・東北発電工業など5社と共同で、アクアパワー東北を13年7月に設立した。浄水場と調整池との落差約25mを利用して、250kWの発電を14年8月から開始している。事業者となって再生可能エネを手掛けるのは初めてで、小水力だけでなく太陽光や風力、木質バイオマスなどでの展開も検討している。
 協和コンサルタンツは、落差が50cmでも発電できる相反転方式の小水力発電機を開発した。14年度に静岡県富士宮市で実証実験を終了、15年度からは地方自治体や民間企業に実機の納入が始まり、商業ベースに乗せる。
 国際航業などを傘下に持つ日本アジアグループは、マイクロ水力発電システムを開発したシーベルインターナショナルの株式を、13年12月に約70%取得した。既に太陽光発電事業で実績があるが、小水力発電を第2の柱に位置付け、国内外で事業を展開する。
 小水力発電は、事業の仕組みや技術開発によって、潜在的な可能性を事業化に結びつけることができるため、これからさらに活発化が見込まれている。
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