2015年5月19日火曜日

【新市場】エネルギーと環境 洋上風力発電、木造建築

◆洋上風力発電 市場の伸び見据え導入に積極姿勢
 再生可能エネルギー分野で、これからの市場の伸びが期待できる事業の1つが風力発電だ。中でも実証から実用化への過渡期にある洋上風力発電については、導入に積極姿勢を示す地方自治体が多い。洋上での設置工事にはゼネコンのノウハウが欠かせないことから、建設業界の関心も高い。新規事業の一環として自らが事業主体となって計画を進めるゼネコンも複数ある。写真は振動台実験の様子。

 日本風力発電協会(JWPA)は2010年度に248万kWだった風力発電を、2050年に7500万kWまで拡大させるビジョンを示している。このうちほぼ半分を洋上風力発電で賄う考えで、内訳は着床式が1900万kW、浮体式を1800万kWと見積もっている。
 ここにきて、自治体の動きが次第に表面化してきた。
 千葉県が設置した研究会は3月、海洋再生可能エネルギーに関する報告書をまとめた。千葉県沖に風況や波力など条件の良いエリアがあることが分かったため、洋上風力発電や波力発電を有望視している。「新産業の創出や雇用拡大など地域活性化の起爆剤になる」と、その経済波及効果にも大きな期待を寄せる。
 洋上風力発電を計画している新潟県村上市は2月、民間企業10社で構成するコンソーシアムを事業者に決めた。造船や商社、金融、建設の異業種コンソーシアムで今後、事業会社となる特別目的会社(SPC)を設立する。秋田県も2月、秋田港と能代港での洋上風力発電事業者を決めた。こちらも同様に商社、金融、建設などの異業種コンソーシアムとなっている。動きが表面化していなくても、計画中の自治体も多く存在すると見られる。
 一方、ゼネコン各社も洋上風力に関心を持っているが、とりわけ熱視線を送っているのが海洋土木工事を主戦場とするマリコンだ。「洋上風力発電の施工は、既存の作業船では限界がある。今後、専用の作業船についても考えていきたい」(清水琢三五洋建設社長)など、受注拡大に向けた検討が進んでいる。
 さらに、マリコン以外でも前田建設のように、自らが事業主体となって洋上風力発電事業を検討する動きもある。
 洋上風力発電には、実証から実用化への過渡期の中でさまざまな技術革新をもたらすという期待感もある。その一方で、計画から事業化までの期間が長く、その間に社会・経済情勢が変化し、事業が影響を受けるという懸念も少なくない。
 施工技術などハード面に加え、円滑な事業実施環境の整備に向けても、多様な主体が知恵を出し合う必要がありそうだ。


◆木造建築 庁舎、大規模建築に採用の機運

 大規模木造建築や木造中高層建築の実現に向けた機運が、官民双方で高まっている。国土交通省と林野庁が昨年、欧米を中心に中高層建築物に利用されているCLT(直交集成板)の普及に向けて、具体的な施策内容とスケジュールを示したロードマップをまとめた。一方、地方自治体が新庁舎の建設に木材を積極的に採用しようとする動きもある。民間企業でもコラボレーションによる市場参入の検討、新材料の開発・普及が進んでいる。
 「木のまち鹿沼」をコンセプトに掲げる栃木県鹿沼市は、新庁舎の建設に当たり木材需要を拡大するため、木質化を積極的に進める方針を示している。基本計画の検討ではCLTに加え、地域に密着した「地域産材活用空間システム(WOOD INFILL)」の採用も検討している。木材でスケルトンインフィルのセルの部分を構築するシステムで、地元の金属加工や木工の組合が共同開発した。ただ、新庁舎の規模が6階建て延べ約1万2000㎡と大きい上、建設予定地が準防火地域に指定されているため、慎重に検討を進めていく。
 日本CLT協会、木を活かす建築推進協議会、日本システム設計は2月、兵庫県三木市の兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)で振動台実験を実施した。CLTパネルで5階建て延べ471㎡の建築物を建設し、阪神・淡路大震災の揺れを再現した。実験では倒壊の恐れがないことを確認したほか、建物は長手方向への変形に強かったものの、短手方向には弱い傾向も把握できた。今後、設計法などの検討に役立てていく計画だ。
 木造建築をめぐっては、ゼネコンにもさまざまな動きがある。三井住友建設と住友林業は昨年、中・大規模木造建築市場向けの技術やサービスの開発を目指して業務提携した。住友林業が持つ木質材料に関する知見・調達力と木造建築物に関するノウハウ、三井住友建設の設計・施工能力を相互に活用するのが狙いだ。木造とS・RC造の技術を融合させたハイブリッド型の建築物を提案したい考えだ。迅速な市場創出に向けて、普及済みの建築技術を最大限に活用する方針。
 一方、竹中工務店が2011年に開発した耐火集成木材「燃エンウッド」の適用実績が拡大している。燃エンウッドは、純木の「荷重支持部」、モルタルと木で構成された「燃え止まり層」、純木の「燃え代層」の3層で構成。柱や梁などの構造部材として使うことができ、火災時には内部の燃焼進行を抑制して、荷重支持部を火から守る。14年日本建築学会賞(技術)など複数の賞を受賞している。これまで大型商業施設やオフィスビル、教育施設などで実績があったが、医療施設での導入も決まった。
 竹中工務店はCLTの活用にも力を入れている。CLTをRC造建築物の耐力壁として初適用した。自社単身寮の改修工事に適用し、CLTを7層圧着したパネルを既存躯体と接着剤で一体化させた。躯体専門職が不要となるメリットが大きく、このほか運搬や施工が容易、工期が短く騒音が発生しないなどの利点がある。今後、評定を取得し、教育施設などに提案していく方針だ。
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