2015年5月22日金曜日

【産業界の動向と展望】人材育成への取り組み ディベロッパー・インターンシップの活用広がる

■グローバル化にトレーニー制度
 今後もさらなる人口減少や、高齢化社会が進む中、建設業界の市場を維持するためにも担い手の確保や育成はまったなしの状況だ。都市インフラを支える民間ディベロッパーは新入社員の確保や、社内教育にどのような取り組みを行っているのか。写真は森ビルの新入社員が1年間の集大成として行う事例演習。先輩社員を前にプレゼンテーションを行う。
◆採用に問題なし
 新入社員の確保について、三井不動産、三菱地所、森ビルのいずれも20人超-30人超で毎年目標どおり人材を採用している。ディベロッパー以外の他産業との併願では、各社とも少人数でプロジェクトを進める「総合商社」を挙げる。その他では、沿線開発を手がける「電鉄会社」(三菱地所、森ビル)、「金融」(三井不動産)、「広告業界、マスコミ」(森ビル)などがあるが、入社希望者も高倍率で「受験者数で困っていることはない」
 総じて資格の有無は採用基準にしていないが、ディベロッパーとして入社後は宅地建物取引主任者(宅建)の取得を推奨している。専攻では「技術部門を継続するためにも機械電気系の確保も必要」(森ビル)という声もある。
 経団連の「採用選考に関する指針」により、16年卒業生から就職活動の開始スケジュールが3年生12月から3年生3月へと後ろ倒しされた影響からか、インターンシップの取り組みも活発化している。

◆社内教育に工夫
 三菱地所は14年度に初めてインターンシップを行った。14年の10月から11月の1カ月、大手町ビルヂングで1週間に1回の5日ほどで約25人が参加した。社員約15人が加わり、5チームに分かれて「丸の内でこれから必要になる機能」、実在する商業施設をモデルケースに「活性化するための施策」などのテーマでディスカッション中心のインターンシップとなった。
 森ビルもことし2月、初めて公募によるインターンシップを行った。六本木ヒルズで「森ビルの街づくりの魅力を体感する」をテーマに6日間連続で行い、約25人が参加した。前半3日間はグループワーク、後半3日間は実際に部署に配属され都市づくりの仕事を学んだ。
 三井不動産が4月に2日間連続、柏の葉スマートシティで行ったインターンシップでは、全国から約50人の学生が参加し、今後の開発提案をした。
 社員教育では今後のグローバル化を見据え、海外トレーニー制度の採用も目立つ。
 三菱地所では、事務所があるニューヨーク、ロンドンで行っていたが、近年は新たに上海でのトレーニー制度を導入した。半年の半分ほどを語学研修に充て、残りを事務所や、現地提携企業での実務に充てる。また、三菱地所は京都大学のアジア諸国の政府機関、大学、企業とのネットワークを活用した人材育成プログラムにも参加している。
 森ビルでは、駐在員事務所がある上海でのトレーニー制度を3年前から実施している。半年間の語学留学を経て1年間、上海の駐在員事務所に派遣される。実際に他国の人とやりとりをすることで、「語学だけでなく、リーダーシップやコミュニケーション能力などの人間力を上げる」狙いもある。
 三井不動産も欧米と中国・アジアで実施している。
 このほか三菱地所では、大学などの公開講座の受講を補助する「マイ・セレクトプログラム」を実施している。リーダーシップ、アカウンティング、ファイナンス、論理的思考、語学、コミュニケーションなどから、「自分に必要なものを自分で考えて選ぶ」ことで、幅広い社会的知識を身につけて仕事に生かす。
 森ビルで特徴的なのは、新入社員が1年間の集大成として取り組む「事例演習」だ。グループに分かれた新人たちが課題となる敷地で、立地分析、コンセプト立案、施設計画から採算検討までを2カ月程度かけて実際の再開発事業に必要なステップを経て街をつくる。最後は先輩社員に向けてプレゼンテーションを行う。実際に採算検討を行うことで、コスト感覚も身につける。このほか、入社3年目の社員が中心となり、毎年行っている親子向け教育プログラム「ヒルズ街育(まちいく)プロジェクト」も、社員研修の一環として行われている。
 三井不動産の社内教育は、従来からOJTがメインとなっている。ビジネス、市場の多様化などの環境変化に対応するため、現場での業務を通じて社員を教育している。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿