2015年5月27日水曜日

【産業界の動向と展望】総力取材レポート 地方業界の今 北海道・東北・深松組の試み

◆北海道 若者に業界をPR、保護者の声も反映
 北海道開発局では、改正公共工事品質確保促進法施行と運用指針に従い、担い手の中長期的な育成、確保が実現できるよう他の発注機関、関係機関とも連携を図っている。また北海道建設業協会では、独自の取り組みを積極的に展開している。写真は保護者を招いた懇談会の様子。

 建設業での女性の登用に向けて北海道建設業協会は、協会としては初の試みとして「女性建設技術者活用研究会」を開催し、女性建設技術者の入職促進と離職防止を図り、人材育成に取り組んでいる。委員長を務めている萩原建設工業の萩原一利社長は「これからの建設業界のイメージアップ、優秀な人材確保に向けて業界として積極的に取り組んでいきたい」と語り、女性技術者の活躍が拡大する契機となることに期待を寄せる。
 このほか、北海道商工会議所連合会と北海道建設業協会、建設産業専門団体北海道地区連合会は、中学校、高校、大学に通う子どもを持つ母親らと「建設業の人材確保に向けた懇談会」を開いた。これも初の試みで、学生の進路選択に影響力のある保護者の声を聞き、今後の取り組みに反映させていくことが目的だ。保護者からは「イメージアップの必要性」や「建設業を知る機会を増やしてほしい」など積極的な提案が行われた。
 また、建設業の仕事内容や魅力を若い人に知ってもらおうと『ただいま工事中!!(建築工事編)』と題したストーリーマンガ冊子も発行。8万部を印刷し、道内の全高校と各地方建協に無償で配布した。15年度は土木編を第2弾として取り組む。
 これらの取り組みと連動して北海道建設業信用保証は、14年度に建設業団体や建設会社を対象に「道内建設業若年者育成助成事業」を創設した。この制度は、若年者の入職促進・育成に向けた新たな取り組みで、関係団体が実施する教育・研修、資格取得などの各種申請に対して17年度までに当面、1000万円助成するもので、15年度までに既に13事業881万円を助成することとなっており、さらに拡大していく方針だ。

◆東北 宮城は218人不足、即戦力確保が困難
 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城と岩手、福島の3県および被災市町村では、復旧・復興事業の予算を執行し、事業を管理する“即戦力”となる職員の確保が喫緊の課題だ。
 被災した沿岸市町の投資的経費が震災前の14倍に激増している宮城県内では、震災から4年が過ぎて事業が本格化、必要人員は増加している。15年度は石巻市の70人を筆頭に、気仙沼市40人、女川町36人など沿岸15市町合わせて218人の不足が見込まれる。事務職の130人を始め、復興まちづくりや施設整備などを担当する技術職は土木系72人、建築系18人とニーズが高まっている。
 同県内では、被災地とペアを組む県や市による“対口(たいこう)支援”や、県の代行採用、総務省・復興庁などのスキームで、全国から982人の派遣を受けているが、技術系職員は全国的に不足し、長期の現職派遣には限界があるという。
 これを受けて同県内では、県および内陸の市町村から沿岸部に派遣することで、職員不足の解消に努めている。一方、派遣実績がある他県の自治体には、任期付職員の採用・派遣の再実施や、OB職員への声掛けも要望していく。さらに全国の市町村職員などを対象に1泊2日程度の被災自治体視察を行い、生活環境や復興状況を確認してもらい、不安を払拭(ふっしょく)させる考えだ。
 さらに10月以降は、復興事業が比較的進み16年度以降の必要人数減を見込む市町とともに、職員が不足している他の自治体に派遣を要請する“振替派遣”に取り組む。
 高い確率で大規模災害の発生が予測される中、行政職員の確保が大きな課題となるだけに、より強力な対口支援のあり方を始め、災害対応と、中長期にわたる復興事業を継続的に担う職員確保の仕組みづくりが求められている。

◆全国の若手経営者と連携し人材育成――深松組の試み―― 「10年後には職人を押さえている会社だけが生き残れる」と語るのは、ことし創立90年を迎える深松組(本社・仙台市)の深松努社長だ。
 地域の基盤整備を担い、数多くの災害対応を経験してきただけに「少子化の影響から、全産業で労働力不足の深刻化が進んでおり、この傾向は変わらない」と、技術者・技能者の確保を企業存続の最重要課題に位置付け、新入社員を「子孫の未来の繁栄につながる国土と生活の安全・安心を守るための貴重な人財だ」と強調する。
 一方、「仙台市は5カ年の復興期間が終了し、宮城県からの工事発注も今年度前半以降はほとんどなくなる」と見ているが、「忙しいときこそ未来に向けて投資をしてほしい」と、安全大会で協力会社にも、将来に備えて技術者・技能者の確保を呼び掛ける。
 技術者の育成に当たっては、ことし3月に一般社団法人化した地域建設業新未来研究会の活動を本格化させる考えだ。同研究会には、全国の地域建設業の若手経営者ら15社が参加しており、相互に社員を出向させ、それぞれが得意とする工事の技術などを現地で学ぶ仕組みだ。
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