2015年5月18日月曜日

【プレーヤーの動き】ゼネコン、道路舗装 低採算体質から脱却・生産性の向上に注力

■ゼネコン
 担い手の確保・育成には、その源泉となる利益の確保が不可欠といえる。しかし、ゼネコン各社は、“旧来のしきたり”からの決別宣言以降、縮小する公共工事市場で熾烈な過当競争を強いられ、リーマン・ショックによる民間建築市場の冷え込みも重なり、各社とも厳しい環境に直面した。そのため現在、市場が好転する中でゼネコン各社は同じ轍(てつ)を踏まないよう、低採算な体質からの脱却とともに、生産システムを担う供給網を維持するため、協力会社の囲い込みに取り組み始めた。

 ただ、市場の好転による労務・資機材価格の上昇は、東日本大震災前後に受注した不採算な大型工事に悪影響を与え、ゼネコン各社の利益を圧迫した。その結果、2013年3月期決算では総じて完成工事総利益(工事粗利)率が低下し、営業赤字の企業も少なくなかった。
 主戦場である建築工事の工事粗利率低下が著しく、各社は市場の回復を追い風に、採算重視の受注展開へと大きく舵(かじ)を切った。しかし、売上目標の達成に向かってまい進してきた営業マンの手綱を絞り、量から質への転換を図るのは容易ではなく、ガバナンスと受注判断機能の強化を目的に、多くのゼネコンは、コストを管理する新たな部署の設置や見積・積算・調達・購買関連部門の新設・再編などを実施した。

◆協力会社囲い込み供給網維持
 一方、協力会社の囲い込みでは、優秀な技能労働者に手当を支給する優良技能者認定制度の創設が相次ぎ、支給額を拡充するゼネコンも拡大。協力会組織の会員企業への入職を支援するため、工業高校向けのパンフレットやDVDの作成などにも力を入れ、大手ゼネコンでは、協力会組織とともに教育訓練校を開校するなど若年技能労働者の育成支援にも乗り出している。また、協力会組織の人材確保・育成を支援する新部署を設けた準大手ゼネコンも現れた。
 確実に生産年齢人口が減少していく中、担い手の確保・育成とともに、喫緊の課題といわれている生産性の向上にもゼネコン各社はいま力を注いでおり、エンジニアリング部門の強化などのほか、建築と土木の技術融合を目指した新組織設立や保有技術を核に新領域に挑む部署を新設するなど、その取り組みは多様となっている。 


■道路舗装 東京五輪後を視野 好環境下で将来に備える

 「ここ4、5年の市場とそれ以降の市場では大きな変化がある」。あるトップがこう語るように、道路舗装各社では、反動が見込まれる2020年の東京五輪後を視野に入れながら、来るべき変化に対応できる体質づくりを着々と進めている。主要高速道路は20年までにはほとんどが開通するなど、新規大型工事の減少が確実視される中、好調な受注環境、業績を背景に、安定的な収益構造の構築へと舵(かじ)を切り始めている。
 労務費や原材料価格の上昇という不安定要素もある中、15年3月期第3四半期決算の業績は、公共工事の底堅い推移などにより、各社ともおおむね好調だった。
 国土交通省の労務単価アップなどで、官庁工事の利益率は比較的良好に推移し、各社とも消化能力に限界を抱える中で民間工事も過度な競争が緩和し、利益を重視した受注が可能な状態にある。
 久々に訪れた好環境下で集中的に設備投資し、足腰を固めるという考えは各社とも共通している。「いまのうちにプラントの更新などをどんどん進めていく」「営業所の改築を始め、職場環境改善に取り組む」など、いまが絶好のチャンスととらえるトップも少なくない。

◆安定収益確保へ動き着々
 本業を補完するための収益源の多様化では、得意分野を生かした業容の拡大や新領域事業の育成に取り組む動きも出始めている。将来的に需要増大が見込まれる水素ステーション分野や建築事業の強化に乗り出す社もある。コンクリート舗装についても将来的な需要増を見越し、施工方法や技術開発に力を注ぐ動きも出ている。
 取り組み具合には濃淡があるものの、一部では各地で資本参加している地域子会社の組織強化に力を入れる動きも出始めている。
 大手による資本参加は、後継者の課題を抱える地域の会社にとっては会社をたたまずに事業が継続でき、資本投入する側には地域要件が厳しく本体では入り込めない地方自治体の発注工事をカバーして連結利益を確保できるといったメリットがある。
 本体を補完する多様な受注チャンネルや担い手の確保による全国的な施工能力の維持など、グループ力強化の一環として、今後も資金、人的な支援が加速する可能性もある。
 「五輪後の仕事を前倒しして食っているだけ」。各社のトップは現状を楽観視することなく、数年後に訪れる環境変化に備えた基礎体力づくりに余念がない。
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