2015年5月26日火曜日

【産業界の動向と展望】設備 アズビル・グローバル人材を育成 東京電業協会・合同企業説明会

■アズビル 日本人、外国人スタッフが英語で混合研修

 アズビルは、グローバルに活躍できる人材の教育を強化している。これまで日本人と海外現地法人のスタッフを分けて教育していたが、両者を混合させた研修も始めた。前期に1回目の研修が終わり、参加者からはモチベーションの向上や他部署との情報共有によるマネジメント力、リーダーシップへの意識改善にもつながるなど好評で、成果が出始めている。今後も継続して活動していく。写真は社外講師による講義。

 グローバル教育は、これまで技術教育と製品のメンテナンスに関するトレーニングが中心だった。ただ、事業展開が発展する上で、論理的なプレゼンテーションやマネジメントの能力が求められており、特に現地法人での能力向上が課題となっていた。
 研修では、海外事業にかかわる日本人社員と、現地スタッフを10人ずつ混合させて実施する。現地スタッフはASEAN(東南アジア諸国連合)地域が中心で、「ナンバー2クラス」(同社)を対象にしている。
 研修では、セールスやマーケティングなどをテーマにした議論や、ネゴシエーションなどを実施する。日本で実施するものの、言語はすべて英語だ。数人のチームに分けて戦略を立案し、その内容を最後に経営陣に発表する機会もある。経営陣からの指摘を受けながら磨かれていく。研修を終えると卒業証書を作成し、研修を受けたことを認証する仕組みもある。

◇モチベーション向上、意識改善
 研修の受講は「横のネットワークができ、スキルアップにつながる」と、担当する成瀬彰彦執行役員人事・アカデミー担当は効果を語る。研修により他国の現地法人や日本ではどういった方法をとっているのか知ることができ、自らの活動を客観視して取り組みを改善したり、別の方法を取り入れることになる。また、自国に戻った際に他国の方法やノウハウをフィードバックすれば、個人のスキルだけでなく、各現地法人としてもレベルアップにつなげられる。日本人社員にとっても、海外の事情を理解する機会になるほか、現地スタッフとのネットワークが形成され円滑な事業が遂行できる。
 現地法人でフィードバックするには、研修の参加者が経営陣と直接対話する必要もある。同社はそうした機会が増えるよう下支えもしてきている。現地法人のトップを対象にした教育も実施し、意識改革にも乗り出している。そうすることで研修参加者の意見も経営層に受け入れやすくなり、企業の体質も改善されやすい。それは、研修参加者のモチベーションの向上にもつながるという。
 参加者自身へのインセンティブも付与している。現地でやりがいのある業務やポジションに就かせたり、給与の引き上げなどで仕事への意欲を高める。また、本社での勤務など、日本で業務にかかわれるようにし、出世の道を開く。そのことは、日本本社の活性化や海外の事業所とのネットワーク形成にもつながるはずだ。
 さらに、現地スタッフの定着率を上げる方法にもなっている。海外ではライバル企業への転職も日常茶飯事。ただ、企業としては企業風土を知り能力を高めた人材が流出するのは避けたいところだ。インセンティブだけでなく、自ら学んだ知識や経験が経営に生かされるようになれば、社員としてはやりがいを感じやすくなる。
 ひいては、現地スタッフがトップを務めるようにもしていく。現在でも、韓国やインドネシア、米国などで務めているが、今後はアジアのほか欧州でも対象を広げたいとしている。

◆マイスター制度、設備にも広がり 業界全体の発展に期待
 優れた協力会社社員を元請けが表彰するマイスター制度が、設備工事業界でも広がってきた。高度な施工技術を保有し、工事の品質向上に寄与したと認められる技能者を認定することで、さらなる品質向上や後進の育成などに励んでもらっている。技能者のモチベーション向上や地位向上、処遇改善にもなり、協力会社自体だけでなく業界全体の発展にも期待が寄せられている。
 2014年度には、三機工業が「スーパーマイスター制度」として認定をスタートさせた。初回は全国の15人の職長を選定。認定式に臨んだ梶浦卓一社長(当時)は「顧客のニーズに応えていくには職長に実力を発揮してもらうのが大事だ。他社と差別化を図るためにも、一緒になってまい進したい」と、協力会社の人材確保・育成が自社の向上にも関係するとみて、今後に期待を寄せた。
 ダイダンは11年度から制度を運用し、ことしは8人が選ばれた。今後は「全国規模のネットワークを構築し、事業所間での協力会社の応援体制の確立を目指す」(菅谷節代表取締役会長)とさらなる活用を見据えている。
 先駆けとなった高砂熱学工業は、07年の創設から8回の認定を数えた。累計で72人が認定されており、まずは100人の到達を目指し、拡充していく。

■東京電業協会 “偶然の2社”で視野広げる

 建設業界団体で就職説明会を開くケースが増えてきた中、そうした動きに先駆けて団体として合同企業説明会を開いてきたのが東京電業協会(井上健会長)だ。2011年度から始めたイベントは毎年開催され、14年度は「電気工事業界フォーラム」と名称を変え、4回目を数えた。回を重ねるごとに参加企業が増え、会場の規模も拡大を続けている。また、参加する学生の意欲も年々高まりをみせる。業界全体の理解を促す仕組みも設け、入職後のギャップも減らすことに成功している。

◆知名度に左右されない
 説明会は、各企業がそれぞれ設けたブースで直接説明を受ける時間と、会員企業の社員が業務内容を語り合うパネルディスカッションの時間で構成。説明を受ける時間は、1コマを30分とし、複数のブースを回ってもらう。パネルディスカッションでは、2、3社から社員が1人ずつ参加し、現場での様子を撮影した写真を交えながら仕事内容を説明するのを聴講する。

こだわりは「偶然の2社」と呼ぶ企業との面談方法にある。参加者が入場する際に手渡されるカードには、ランダムに選んだ2社が明記されている。直接説明を受ける時間には、その2社から必ず説明を受けなければならないルールだ。
 この仕組みについて、同協会の民谷嘉輝専務理事は「業界を広く知ってもらうきっかけになる」と狙いを語る。すべて自由に訪問させると、就職活動を始めたばかりの学生では企業のネームバリューに押され、知名度の高い企業のブースに偏りがちだ。「知名度のそれほど高くない企業であっても、優れた仕事をしていることも理解してもらえる」(民谷専務理事)。参加している企業も、電気工事だけでなく、電気通信工事や鉄道関係に特色がある企業などさまざまなだけに、話を聞くことで自らの興味を再確認できたり、電気設備工事業界のイメージを改める機会にもなるという。また、入職後に、抱いていた理想とのギャップに苦しむことも少ないとみられる。
 実際、参加者のアンケートをみると「『偶然の2社』で自分の知らない企業を回ったが、どの企業も自分たちの仕事に誇りを持っているのを感じ、視野が広がった」など好印象を受けている。会社ごとの違いを把握できたり、希望する職種の幅が広がるといったケースもあるようだ。企業からも「当社に興味を持っていない学生も訪れる」「さまざまな企業に出会える良い機会なので継続してほしい」と高評価を得ている。

◆成功のかぎはPR。まず始めてみる 
 説明会を開催する構想は11年以前からあった。若手の入職が少ない点を課題とし、業界全体として同じ危機意識を持っていたからだ。これまでも現場見学会や理系大学の教員との意見交換会などで電気工事業界への関心を引きつける取り組みは進めており、説明会もその一環として構想されていた。
 一方で、企業が合同で説明会を開催することで利害関係が一致するのかという懸念や、何より、参加する企業や学生が読めないというリスクもあった。それでも「まず始めてみることが大事」(民谷専務理事)と開催を決めスタートさせた。
 イベントの成功にはPRがカギになる。まずは就職を支援する企業ともタッグを組んだ。リクルートが運営する求人情報サイト「リクナビ」(現在は協力企業をマイナビに変更)が参加し、学生への周知や説明会当日の運営などでノウハウの提供を受けた。パネルディスカッションでは、情報サイトの編集長がファシリテーターになるなど、学生と企業をつなぐ役割も果たしている。また、協会としても現場見学会や教員との意見交換会でもイベントを周知することで、学生や先生にも浸透した。
 そうした効果もあり、懸念は杞憂に終わる。11年度の第1回は、開場前から行列ができるなど盛況で、267人が参加。「100人来れば成功と思っていた」(同)だけに嬉しい誤算となった。その後も参加者は200人以上を維持している。また、申し込んだ学生が実際に参加した参加率をみると、14年度は89.3%と高く、前年の83.1%から向上している。買い手市場から売り手市場に変わる中でも、学生が一生を託す企業選びにはより真摯になってきているという。
 その成果は、企業の参加数にも反映した。初回が31社だったところ、35社、48社、55社と右肩上がりで増加。会場も、当初は同協会が入居・所有する東京電業会館(東京都港区)で数フロアを活用して開催したが、企業数の増加への対応や、フロアを超えた移動が課題になっていたため、14年度はワンフロアで対応できる会議室を借りて実施するまでになった。

◆継続へ開催時期、会場環境など検討
 同協会では、今後も継続して活動する方針だ。日程が大学の行事と重ならないようにするなど、各大学の状況に応じた対応も検討する。また、アンケートでは開催時期や企業訪問の時間などでの要望もあるほか、会場の通信環境やブースの間隔などにも意見が寄せられており、今後の運営改善に生かしていく。
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