2015年5月28日木曜日

【インタビュー】建築資料研究社社長 馬場 栄一氏 記憶に残る講義で建築士育て45年

建築士など資格取得の教育機関・日建学院などを運営している建築資料研究社(本社・東京都豊島区、馬場栄一社長)は、昨年、創立45周年を迎えた。日建学院では、決まった日時にスクール形式で仲間と切磋琢磨しながら学ぶ集合教室と、自分の好きな時間に通学して集中学習ができる個別教室を全直営校で開設している。Web講義を含め記憶に残る「映像講義」で、受講生から高い評価を得ている。1980年から2013年の累計では、日建学院出身者の1級建築士11万8810人を輩出している。日建学院を通して資格を取得し、建設関連企業のトップになっている人も多い。「OBの方々のつながりが大きな財産」と指摘する馬場社長に、今後の展望などを聞いた。

--昨年、創立45周年を迎えられました

 当社は、中学校卒業の大工さんにも建築士資格を取らせることをコンセプトに、1969年に設立しました。以来、順調に成長を続けてきました。建築士、宅建、建築や土木の各施工管理技士などの資格取得をめざす人の教育機関である日建学院は、現在、北は北海道から南は沖縄まで、公認校、認定校も含め600校あり、受講生の多様なニーズに対応しています。また、建築士定期講習などの法定講習を展開する株式会社日建学院、建設系の派遣業務をメインに行うニッケン・キャリア・ステーション、小学4年~大学受験まで役立つ数学や英語教材を提供しているニッケンアカデミー、アーバンツーリスト、日建ウッドシステムズなどグループ企業の活動も活発に展開しています。

■OBとの人脈が財産/多様な受講形式提供

--資格取得に対する建築資料研究社/日建学院の強みは

 われわれの一番の財産は、過去45年間にわたって、これまで日建学院を通じて、建設関係の資格を取得した方々が、数多くいることです。そうしたOBの方々の中には、企業の経営を担っている方も多くいます。さらに、親の代から引き続き日建学院に通い、資格を取得している方も多い。こうしたOBの方々のつながりが大きな財産となっています。
 建築士についてみますと、1980年から2013年の累計では1級建築士11万8810人、2級建築士16万6033人が日建学院出身者です。この期間、日本全国レベルで、1級建築士の半分以上が日建学院出身者で占められています。
 それは、長年こだわり続けているクオリティーと学習効果の高い「映像講義」、合格に直結する「オリジナルテキスト」の充実などに支えられた成果です。

スクール形式で仲間と学ぶ集合教室
さらに、決まった日時にスクール形式で仲間と切磋琢磨しながら学ぶ「集合教室」と、自分の好きな時間に通学して集中学習ができる「個別教室」の2タイプの学習環境を全直営校に完備し、多様化・多忙化する受験ニーズへの対応を図っています。また、学校に通えない方々に向けた、インターネットを活用した「WEB講座」の充実も成果向上に繋がっています。

自分の好きな時間に通学して集中学習できる個別教室
日ごろの講義や、学習方法、メンタル面もフォローするパーソナルアドバイザーや、入学後から本試験まで、受講生一人ひとりを担当し、出欠状況の把握から成績管理なども含めきめ細かく、親身にサポートするライセンスアドバイザーの存在も、実績を積み上げていく上で大きな役割を担っています。

■学生の活動を出版/広く一般に伝える

--近年、建築系の学生に対する支援や、連携を強化していますね。具体的な支援方策と展望は

 私たちは、大学の学部・修士学生、および高等専門学校の学生たちを陰ながら、出版という形で応援してきました。彼らがかかわるイベントや活動を記録し公刊することで、その成果を広く一般に伝え、後々まで残していくという使命を持ってかかわっています。
 有名なところでは、学部学生の卒業設計展として最大規模を誇る「せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦」があります。学生が自主企画・運営するこのイベントのオフィシャルブックを、継続して出版してきました。今年でちょうど10年目となります。
 また、修士学生を対象とした「トウキョウ建築コレクション」は、設計・論文・プロジェクトという、修士学生なら必ずどれかにはかかわることになる部門、これらすべてにわたって作品を募集し、展示、講評するという、他に例のないイベントです。ことしで9年目になりますが、スタート時からその趣旨に賛同し、オフィシャルブックを出版してきました。

■記録の出版通じて活動レベルアップ

 最近の取り組みでは、一昨年から高専の全国大会「デザコン」の記録誌も出版するようになりました。高専では「ロボコン」が有名ですが、この「デザコン」も、5つの部門それぞれ予選を勝ち抜いてきたチームが一堂に会し、本戦で競うという大会で、高専のもうひとつの目玉イベントとして定着してきました。
 やや特殊な例では、関西の大学間で教官有志が自身の研究室学生を率い、都市デザインをテーマに合同演習をする「京都建築スクール」という活動があり、その年度成果を一昨年より本にとりまとめています。
 これらを通して思うことは、やはり出版の力は大きい、ということです。公式記録集として出版することにより、当のイベントや活動自体がレベルアップし活性化するという事実こそ、私たちが着目し意義を認めているところなのです。私たちができることは、あくまで間接的な関与と支援ではありますが、これが若手の人材育成へとつながることを信じ、今後も可能な限りこうした出版活動を続けていきたいと考えております。

■全国で求職者を支援/介護訓練も積極展開


--いま、あらゆる分野で技術者、技能者不足が問題となっています。就業希望者と雇用者が求めるスキルのミスマッチもあります。こうした中、日建学院では、求職者支援訓練などに積極的に取り組んでいますね

 そうですね。現在、日建学院では、離職者が再就職に必要な技能・知識を習得するために必要な職業訓練を全都道府県で実施しています。訓練実施機関として、全校(直営)に登録キャリアコンサルタントを配備し、訓練生の相談支援に取り組んでいます。

介護訓練風景。既に1000人以上を輩出している
主な訓練コースとして、パソコンやCADコース、簿記や宅建など早期就職への強力な武器となる資格取得を取り入れたコースも展開しています。特に宅建関連コースでは毎年50%を超える高い合格率を出しています(2014年度全国宅建合格率17.5%)。
 近年では、深刻な人材不足である介護業界に貢献するため、介護職員養成訓練を積極的に取り組んでおり、1000人を超える人材を介護業界に送り出しています。今後も、多様な人材ニーズや地域の実情にも応えられるよう考えています。
 また、建設業界に関する新しい取り組みとしては、地場大手建設企業などの新人研修などをサポートする事業も手がけています。建設業界の人手不足を反映し、一部の建設企業では、建設業に興味のある文化系の学生を採用し、独自に教育し、建設技術者として育てようという動きがあります。
 そうした企業の新人の方に対し、建設産業の基礎的な知識などを教育する初期研修、社員研修などの面で、サポートしていく事業は今後、増えると思います。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿